市街戦
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[編集] 市街戦
発動の瞬間、優子の意識は市街全域に広がっていく。イニシエとの接続は良好だった。 マクミランM87Rのスコープに自分の姿が映し出されているのを感じる。 「目標を確認」 1キロ先で声を発されたのが分かった。優子は狙撃兵の意識を読んでいる。 トリガーが引かれた。 12.7ミリ、40グラム、900メートル毎秒の初速を持つ徹甲焼夷弾が発射される。 金属の塊が回転しながら優子の眉間めがけて飛んでくるのが分かった。 イニシエは力を解放し、ライフル弾の弾道を捻じ曲げた。弾は優子の肩をかすめ、コンクリートの壁に当たった。 「目標に命中せず」 インカムで報告しながら、スナイパーは第二射の照準をつける。 その時、スナイパーは両肩に痛みを感じた。 スコープを外すと、肩に深ぶかと、鳥の爪が刺さっている。 見上げると、爪の持ち主である鴉と目が合った。 黒いくちばしで頭をはさまれる。暗転。圧力。激痛。そして、死。 首のもげた死体は頚動脈から血を噴出させつつ最期の舞を踊った。 "カー!" 鴉が鳴いた。口から吐き出されるスナイパーの首。 舞い上がる鴉。 風を受けて首が屋上を転がっていく。 優子はスナイパーの痛みを感じた。 彼の死は自分の一部の死でもあった。 部分の死は全体の構造を変えていく。 優子は父の言葉を思い出す。 彼は言った。 「この世界には決して解けない呪いがかけられている」と。
